納骨壇の基礎知識は知っておいた方がいいのでは?
そうですね。お檀家様から尋ねられたら、お答えしなければいけないですから。
『ご遺骨をお預かりする棚』は、終戦直後からあったようです。もちろん、戦争という背景ですから墓地に埋葬するまでという一時的な感覚であったのは間違いありません。それらの延長線上で『棚』から『箱』へと進化し、簡単な納骨壇として昭和30年代中頃には出現していたようです。この箱が納骨壇として、全国的な広がりをみせたのが昭和40年代前半に大谷本廟様が第一無量寿堂を建立されたのがきっかけと言われております。
ご本山が採用されたということで、全国のご寺院様へ広がりをみせました。当初は、東京や大阪など墓地不足の傾向にある大都市に多くの需要があると思われておりましたが、実際には、北海道(全道ではない)や九州(福岡、鹿児島が多い)や山陽地区に多く求められました。
これは、厳しい自然環境や寺院運営という現実的な要因があったのではないかと推測ができます。また、現在では多くみられます永代供養墓ですが、これも高度成長期にホームレスの方々のご遺骨の供養を行政が寺院に願い出たことが始まりと言われています。そのような背景から、墓地の片隅にひっそりと設置されておりました。
現在では、ご承知の通り納骨壇は室内墓地として確立されたものへ進化しており、少なくとも納骨壇をご存知ないご寺院様はないのではないでしょうか。
納骨壇といっても色々種類があるというが。
次に納骨壇の種類でございますが、アルミ、スチール、木材、石材と様々な素材を用いて製作されております。代表的な納骨壇のご紹介をさせて頂きます。
① アルミ製納骨壇
昭和40年代前半に出現しております。火に強いということで開発されたわけでありますが、当初は木材との複合品でありました。その後、改良され総アルミ製納骨壇が出来上がりました。
(アルミの融度は400度といわれています。)
② スチール製納骨壇
アルミ製納骨壇より歴史は古いです。コインロッカーのようなボックスタイプが始まりです。しかし、当時のスチールは錆に弱く大きな広がりを見せませんでした。その後、平成の時代に防錆鋼板を使った本格的なスチール製納骨壇が完成されました。基本的な考え方は、アルミ製納骨壇のノウハウを取り入れております。
(スチールの融度は900度といわれています。)
③ 木製納骨壇
アルミ製納骨壇が普及した同時期ころに出現しております。当初は、紫檀やカリン材を用いた唐木系納骨壇でありました。
その後、金仏壇を思わすような立派な納骨壇が出現しました。
④ 石製納骨壇
墓石を室内に据え付けたものから、アルミ製納骨壇を意識したデザイン美しい納骨壇まで出ております。また、成型ができるということで人工石の納骨壇も現れております。理由は、定かではありませんが九州地区に多く見られます。
メーカーの都合で素材が選択されている?
以上のように多くの納骨壇の種類がありますが、それぞれに製作側の事情が強く作用しております。それは、できるだけ多く自社の素材を使いたいという点であります。
例えば、アルミ製納骨壇ならできるだけ多くのアルミ材を使いたいという思いが働いております。これは、納骨壇はお仏具の中では、最も工業的に製作されているからです。アルミ製納骨壇はアルミメーカーにお願いするしかないという現状があるからです。そのような背景から本体の改良や改善はなされますが、荘厳部分の改良はあまりなされないのが現状であります。
手前どもが思います理想の納骨壇は、まず素材ありきではなく、ご寺院様がお檀家様にどのような納骨壇をご提供したいかをお考え頂き、その構想に最も適切な素材を手前共がご提案をさせて頂き、ご検討を重ねて頂き、製作していくのが最善と思っております。そのためであれば、木材とスチール材の複合品であっても構わないのであります。お檀家様が今後長きに渡りお手を合わされる大切なお仏具であります。まず、ご寺院様の理想とされる納骨壇像をお描き頂くことをお勧め致します。単にカタログから選ぶのではなく、できればご寺院様の思いが込められた納骨壇を設置されることをご提案申し上げます。
